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映画「何者」 鑑賞記録

AmazonPrimeのページをフラフラしている時に、おすすめで出てきた映画。

 

全く事前情報もなく観た為、正直、最初は気分的にのらなかったのですが…観ているうちに色々と思う所が出てきた映画で、また鑑賞後、色々考えさせられることが多かったので、私なりの感想・考察を記録しておきます。

 

何者

 

 

 

何者 はこんな人におすすめ

  • 就職活動に悩んでる人
  • 将来、何がしたいのかわからなくて悩んでる人
  • これから就職活動をする、大学1年生や2年生
  • 就活をしている子供を持つ親

 

もしかしたら、映画を見て気分が落ちちゃうかもしれないですが、何かヒントが見つかる映画だと思います。

 

 

何者 概要とあらすじ

 

第148回直木三十五賞を受賞した朝井リョウさんの小説をベースに、2016年に映画化された作品。


登場人物は、就職活動をする主人公・拓人(佐藤健)を始めとする大学生4人と主人公の先輩、元一緒に劇団をやっていた仲間、就活仲間の彼氏と少なく、主に就活をする大学生5人にフォーカスを当てた非常にクローズドな世界が進行していく。

 

主人公は就職活動中の拓人(佐藤健)。
大学の演劇サークルで脚本を書いていたが、演劇の道は諦め(?)就職活動2年目。人を分析するのが得意でちょっと物事を斜め上から見るような冷めた所があり、就活は熱量不足とというか、それ程上手くいっていない。何かというとtwitterにつぶやく、Twitterやブログを読み、人の情報を収集・分析するタイプ。

 

拓人とルームシェアをする光太郎(菅田将暉)は、大学のサークルでバンドを結成。
大学生活はバンドに捧げていたような彼だが、明るくノリが良く、何も考えていないように見えて、意外と要領よく就職活動を行っている。

少し田舎の雰囲気を残す瑞月(有村架純)は、拓人が片思い?をしているようだが、拓人に色々相談をしたりする良い友達で、ルームシェアをしている光太郎の元カノ。家庭の事情もあり、安定した就職を目指す一方で、瑞月は未だに光太郎に思いを寄せている。


海外留学経験もあり、拓人、光太郎、瑞月とは学部も違うが、拓人と光太郎と同じマンションの上の階に暮らしている「意識高い系」の理香。理香もtwitterをしているが、基本的には前向き、上昇志向の強い、頑張ってる系のツイートが多い。他の3人より一歩進んだ情報を持っていたりするが、なかなか結果が出ない。

理香の彼氏で理香の部屋で同姓している隆良は、所謂、ナルシスト(笑)。「就活は決められたルールに乗るだけ」、「俺は違う」みたいなありがちな事を云いつつ、就活はしないと宣言。

 

理香の部屋を「就活対策本部」と名付け、定期的に集まりながら、情報交換をしていく4人+隆良。最初は「みんなで頑張ろう!」と盛り上がっていくものの、徐々に就職に対するスタンスや進捗状況により、それぞれの本音が浮き彫りにされていく。

 

要領よく内定を勝ち取る光太郎、苦しみながらも現実を見て内定を受ける瑞月、理想の自分とかけ離れた現実に、潰されそうになる理香、そんな3人や元劇団仲間で大学を中退し、演劇を頑張っている元仲間を斜め上から見て分析し、就職活動に身が入っていない拓人、いつまでも自分は「特別」と就職活動もせず、アウトプットもしない隆良。

 

それぞれの就職活動の葛藤や生き方、学生から大人になるタイミングで、それぞれがどんな風に自分自身と向き合って行くかにフォーカスを当てた作品となっている。

何者

 

映画「何者」感想

大学生の就職活動という、限定的なテーマを扱っている為、共感できるか否かは別として、今の若い人が就職活動に対し感じる事、不安、就職活動を感じてどんな心理的影響があるのかを理解するには、非常にわかりやすいなと感じました。

 

テーマがテーマだけに、派手さはなく、また主人公の拓人が演劇に打ち込んでいた為か、映画というより、ドキュメンタリーというか小劇場で行われている演劇的な雰囲気を全体に残す作品で、同じ境遇にいる就活中の学生が見るとまた感じ方が違う作品かもしれませんね。

 

色々と印象に残ったシーンはあるものの、この映画で一番私の印象に残ったのは、内定が決まった夜に、イライラしている拓人に光太郎が拓人に言った言葉、

 

「内定って言葉は不思議だよなぁ。丸ごと自分を肯定されてる気がする。

足が速いとかと一緒で、ただ就活が得意だっただけ。就活は終わったけど、何にもなれた気がしない。」

 

日本にまだまだ根強い、新卒採用文化の中で就職活動をしていくうちに、だんだん目的が判らなくなり、まさに最終的に内定を受けた学生の心理を物語った言葉だなと感じました。

 

今でこそ廃れてきている風潮ではありますが、「いい会社に入る為にいい大学に」という根強い思考がまだまだ日本には溢れていて、年配の方のこういう考えは未だに耳にすると思います。この思考がベースになると、勉強をする意味、大学に行く意味も変わってきてしまい、必然的に「一流企業の内定を勝ち取る」ことが、最終的なゴールや目標になってしまいます。

 

昨今、入社後すぐに退職する若者、3年内の離職率の高さが叫ばれていますが、この思考で行くと、会社にいい会社に入る事目的となってしまう為、入社後、無気力になってしまうのも、何となくわかる気がします。

 

鑑賞後の子育てに関連した自分なりの考察

自分の子供に「『いい会社に入る為にいい大学に』という考えを植え付けたいか」と聞かれれば、答えはNOですが、多分、どんな親だってみんなNO!だったはずなんですよね。でも、こういう風潮がまだまだたくさんあると云う事は、こういう社会の仕組みに逆らえない何かががあるのかもしれません。

 

映画の中にも描かれていた、内定が出た友達の行く会社を検索(ブラックの口コミや評判)したり、Twitterの裏アカウントで就活生を斜めから見たつぶやきしたり、自分が頑張ってるツイートをしないと耐えられない心理…。学生から社会人になる時は、誰だって不安が有り、友達と自分を比べたり、悩んだりするのは当たり前だと思いますが、子供が社会に出ていくにあたり、就職活動で燃え尽きない様に、小さい頃からの意識つけは気をつけて行こうと思いました。

 

それには逆説的に「人生で何がしたいのか」にまずはフォーカスを当てる必要があると思います。

必然的に、学校や勉強に関しては、「○○がしたい」から「○○を学ぶ」「○○を実現する為には、○○を勉強する」という思考で学校や専攻を選ぶ、就職は「○○がしたいから、この会社に入りたい」。この思考に基づき、ブレずに生きていくことができれば、友達の就職活動の状況に傷ついたり、一喜一憂する事ももう少し少なくて済んだかもしれないな、と漠然と思っています。

 

もちろん、その目標や目的がなかなか定まらないから、沢山の若者が苦労や悩んだりするんだと思うし、現に私自身も、年齢や環境と共に自分自身の目的ややりたい事が変わってきたりしているので、そんなに簡単な事ではないのですが。

 

何かの本で、「目的が明確に定まっている方が、より目標の達成、成功率が高い」といった内容を読んだ記憶があります。子育てで子供と関わる事ができるのは、子供の人生のごく短い期間ですが、その限られた時間の中で、子供が「将来何をしたいのか」、「何をするのが好きなのか」を見つける手助けをしてあげたいな、と思う映画でした。