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映画「罪の声」の感想

罪の声

罪の声

 

先日「罪の声」を観ました。予告編を見た時に「映画館で観たいなぁ」って思っていた記憶はあるのですが、なかなか時間の捻出ができず・・・気づいたら(って既にかなりの時間が経過していますが)アマゾンプライムに上がっていたので、早速観ました。

 

 

「罪の声」原作

 

「罪の声」は映画を観ると本当にストーリーがよくできているなぁと思ったので、調べてみたのですが、やっぱり原作がありました。原作は塩田武士さんの小説「罪の声」。ご存じの通りグリコ・森永事件をモチーフとした作品で、2016年に講談社から出ています。 

罪の声 - Wikipedia

罪の声 (講談社文庫)

罪の声 (講談社文庫)

 

作者の塩田さんは、大学時代にグリコ・森永事件の書籍を読んで、脅迫電話に自分と同年代の子供の声が使われていたことを知り、その子供たちの人生に関心を抱き、今回の小説の執筆のアイディアに繋がったようです。グリコ・森永事件は子供時代にあったことは覚えているのですが、まだ小さかったので記憶が曖昧です。お菓子を一時期買ってもらえなかったり、怪人21面相という言葉だけをぼんやりと覚えている感じです。もしかしたら、その子供たちも私と同年代なのかもしれないと映画をみながら思ったのですが、現実はどうだったのでしょうね。

 

作者の塩田さんは大学を卒業後は新聞社に就職し、記者となり、その後、小説家となった後にこの話を執筆したそうです。この小説の骨太さは、長年の構想からきたものなのだなぁと納得しました。事件のあった1984年から1985年にかけての新聞にはやはりすべて目を通しているとWikipediaにも記載されています。

 

原作は2016年度の週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位、第7回山田風太郎賞を受賞しているそうで、時間がある時に一気に読んでみたいです。

 

映画「罪の声」あらすじ

京都市内で父の後を継ぎ紳士服のテーラーを営む曽根俊也(星野源)は、2015年夏、父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。興味本位に黒革のノートの中を見ると、何やら英文や「ギンガ」と「萬堂」の文字が書かれていた。またカセットテープを再生してみると、子供の声が録音されていた。俊也はそれが自分の声だと気づくが、それと同時にその録音は 、31年前に大手製菓メーカーのギンガと萬堂をはじめ食品会社数社が脅迫・恐喝された未解決事件、“ギンガ萬堂事件”(ギン萬事件)の脅迫犯の音声と全く同じものだと気づく。

 

あまりの衝撃的なことに、居ても立っても居られず、俊也は父の代から親交のある堀田信二に事情を打ち明ける。堀田は俊也から例の黒革のノートを預かり、その数日後に俊也と共に30年前からに行方不明の俊也の伯父を知る人物と会い、伯父のことや消息について尋ねた。俊也は伯父がギン萬事件となんらかの関わりがあったのではないか、という疑惑をだんだんと確信に変えていく。

 

同じ時期に大日新聞ではギン萬事件の記事を特集しようとしていた。文化部の記者をしている阿久津英士(小栗旬)は、イギリスに出張しを1983年のハイネケン社長誘拐事件の関連を調べたりするものの、これといった成果がなく帰宅するが、ギンガの株価にまつわる記事を見て証券会社の関係者に話を聞くなど、自分なりに事件を追っていく。

 

伯父の失跡を頼りに事件を追う俊也と、事件の取材記録から事件の再調査を進めていく阿久津。それぞれがある小料理屋に辿り着いた時、お互いの存在を知り、事件の真相を共に解明していくことになる。

 

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映画「罪の声」の感想、ネタバレ含む

 

原作は読んでいないのですが、原作の土台がしっかりしているからこそ、これだけのクオリティの映画ができたのだなぁと思える映画でした。星野源さんと小栗旬さんをはじめとした、俳優さんたちの演技力ももちろんですが、物語の展開とスピード、グリコ・森永事件を知っている人には新しい視点を、そしてグリコ・森永事件を知らなくてもきちんと事件が理解でき、フィクションとしてもちゃんと楽しめる構成になっていました。

 

なるべくネタバレは避けたいのでストーリーの詳細は伏せますが、以前に観てここにも感想を書いた「流浪の月」でも感じた、事件の当事者たちにしかわからない視点にも今回は気付かされました。この映画のテーマになっている「罪の声」=子供の声なのですが、当時リアルタイムで事件を観ていた人たちの中で、当時使われた子供の声のことを今でも気にかけていた人はどのくらいいるのかな?と。

事件当時は昭和59年から60年ごろだと思いますので、当然カセットテープだし今のように一般の人がどれだけ音声を変えたり編集したりできたかわかりませんが、あの時代には確かにデッキの前に座ってカセットテープに声を吹き込むという形が一般的で、通信は手紙、電話、無線、FAXなどが主流でした。今よりも物証が残りやすい時代だったわけですが、その分、科学技術的な捜査はまだなかった時代だったのでしょうね。

 

映画の中の俊也や他の子供たちのように、事件の後、ずっと苦しんでいなければいいなと願わずにはいられません。

 

「流浪の月」の感想はこちらから。

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また「罪の声」の中では、犯人グループの世代は学生運動をしていた人たちの世代になっています。少し前に日本赤軍の残党のような人が海外から帰国したりしていましたが、俊也が自分の声を録音した母(梶芽衣子)と話をしていた時のセリフを聞いて、今でも延長線上のように活動らしきことをされている方々に対し自分が抱いていた違和感はこれだと感じました。かんたんにいうと、正義や大義のためなら何しても許されるのか?ということですね。いろんな考えを持つ自由、主張をする自由はあると思いますが、周囲の人を巻き込んだり、迷惑を省みず主義主張をすることで共感を得られるのかな?と常々疑問を感じていました。

 

今回、映画を観た後にグリコ・森永事件のこともざっとネットで調べてみたのですが、友達の家族がこの事件に関わる会社に勤めていて、事件当時の大変だった話を聞いたことを思い出しました。要求した金銭も結局は受け取っていないようですし、結局、何が目的だったのか、今となってはよくわからない事件ですが、時効になった今、犯人の人たちが真実を述べてくれる日は来るのかな?と淡い期待も抱かずにはいられません

 

また以前から海外の商品に比較して、日本のお菓子の包装が、わざわざ一つ一つ個包装になっていたり、やけに丁寧すぎることが不思議でした。てっきり日本人の几帳面さや衛生面の観点から来るもので、環境問題の視点から見てもゴミが増えるだけだし、「どうしてなのかな?」と思っていましたが、グリコ・森永事件の後に開封された場合に元に戻せないように食品業界全体が包装を変えて行ったそうです。

 

昔は、飴やチョコがそのまま大きな容器に入って、袋に自分で詰めてグラム売りみたいな売り場も結構ありましたが、今ではすっかり見ない光景ですよね。少し前に、ヨーロッパで透明のプラスチックの箱に入った大量のチョコレートやグミを、スコップのようなもので救って袋に入れて買ってきましたが、袋に詰めているときに「なんだか懐かしいなぁ」って気持ちになりました。

個人的には、好きなお菓子を1つずつ袋に詰めて買うのが子供心にすごく楽しかったので、これもグリコ・森永事件の影響かと思うと、ちょっと寂しかったりしますね。

 

「罪の声」は漫画版にもなっているようなので、興味のある方はぜひ!

 

罪の声 昭和最大の未解決事件(1) (イブニングコミックス)

罪の声 昭和最大の未解決事件(1) (イブニングコミックス)

 

 

 

 

 

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