昔、松本清張の小説はかなり読んだのですが、少し前に「疑惑」のドラマを観てからなんとなく松本清張ブームが自分のなかで来てます。
「疑惑」の感想はこちら。
Amazon Primeで今回は「夜光の階段」を観てみました。
「夜光の階段」の原作
表題にもある通り、原作は松本清張の同名小説。連載当時は「ガラスの階段」のタイトルだったようです。松本清張さんの小説では女性がヒロインになっていることが多いですが、今回は「悪い男」佐山道夫が主人公。
美容師の佐山道夫が、女性を利用して自分の店をもち、頂点を目指していく物語である。
ドラマ「夜光の階段」のあらすじ
才能に恵まれた美容師・佐山道夫は野心に溢れ、そのイケメンぶりから周囲の女性が放っておかなかった。東京に出てくる以前の彼のことは謎に包まれていたが、ある事件の犯人とされていた人物が病死したことにより、再度その事件に世間の目が集まるようになり、当時の捜査官である現・検察官の頭にも佐山の存在が浮上していた。
パトロンの女性の助けで自分の店を持ち、雑誌編集者の女性の尽力で有名人の専属ヘアアーティストを担当し、どんどん知名度を上げていく佐山。夢の階段をどんどんと駆け上っていくと同時に、佐山を取り巻く女同士の嫉妬も渦巻いていく。そして彼の地元、九州の天拝山で起きた事件の真相、佐山の過去も明らかになっていく。
ドラマ「夜光の階段」の感想、ネタバレ含む
一言で言うと、藤木直人さんのハマり役ですね。藤木直人さんは、言うまでもなくめちゃくちゃイケメンだと思うんですが、イケメン過ぎるんですよね・・・私には藤木さんがいい人の役をやると違和感がどうしてもあります。
今回の佐山道夫は清々しいくらいの自己中で、女は自分がのし上がって行くための手段としか思っていない。藤木直人さんくらいのイケメンだと、このくらい悪人の方がむしろ現実味があっていいなぁと個人的には感じました。←ものすごく勝手な感想ですみません。
佐山道夫に群がる室井滋さんや木村佳乃さんをはじめとする、女優さんたちの狂気の演技が本当に素晴らしくて、それがより一層藤木さんをハマり役にしていました。
松本清張さんのドラマの特徴は、人間の汚い部分や醜い部分が描かれていることにあると思うのですが、推理小説とかと違って犯人も既にわかっているし、ストーリー展開も予測がついたりするのに目が離せないところにありますよね。どんどん泥沼化していったり、落ちるところまで落ちていくというか。でもなぜか悪人のはずの主人公も周りの人間も嫌いになれない不思議があります。木村佳乃さんが演じていた幸子もそうですが、元々は全然悪い人ではなかったはずなのに、佐山と出会って佐山を愛するようになったことで、嫉妬と独占欲で我を忘れ、狂っていく。でもそこにはどこか人間らしさがあるというか。
そう言った意味でも、少し前に観た「疑惑」も似たような気持ちで観てきた気がします。自分の周りでこんなことが起きていたら、本当に迷惑だし、巻き込まれたくはないのですが、第三者、フィクションとして観ている分には、面白いエンターテイメントなんですよね。人間以上に面白い題材ってないのかもしれませんね。