大好きな阿部寛さんの作品、とんびを観ました。
「とんび」は有名な作品だけに、原作、ドラマの存在も知っていましたが、何となく自分の境遇と重なる気もして、なかなか観る勇気のなかった作品です。
映画「とんび」の概要
原作は重松清の同名小説。2012年にNHKで、2013年にTBSでテレビドラマ化されている作品である。原作は高度成長期にあたる昭和40年ごろから、昭和50年代にかけて妻を失った父が男手一つで息子を育てていく、親子の絆を描く物語である。
映画「とんび」のあらすじ
※一部ネタバレを含みます。
阿部寛さん演じる主人公の市川安男(通称:ヤス)は、伯父夫婦の元で育てられ、工業高校卒業後は運送会社に勤務している。素直に感情表現ができず不器用、いわゆる、昔の昭和気質バリバリの男で、寂しさを怒りで表現したり、図星をつかれると逆ギレするようなタイプといえばわかりやすいだろうか。
妻、美佐子は広島で疎開中に原爆投下に遭い、戦争孤児になってしまった女性で、安男と知り合いアキラが生まれる。4歳のアキラと安男の職場をおとづれた時に、アキラが誤って触ってしまい崩れていた木箱からアキラを守ろうと下敷きになり死んでしまう。
それから父子家庭となった安男は、幼馴染で妻・美佐子の眠る墓地の管理をする住職・海雲の息子・照雲夫婦や小料理屋「夕なぎ」の女将に助けられながら、不器用ながらも一生懸命アキラを育てていく。
酒とタバコが大好きで、飲み歩いていたような安男も、母親がいなくて寂しい思いをする幼少期、反抗期にはぶつかりあいながらもアキラを何とか育ててきた。そんなアキラは、大学受験で上京したいと言い出して・・・
映画「とんび」を観た感想
備後市という架空の土地が舞台ですが、何となく大分?と思ったものの、瀬戸内の街が舞台のようでした。商店街や街並み、家の中の細かい家具や持ち物など、作品全体として、昭和の香りをあちこちに感じ、懐かしさを感じる作品でした。
ちょっと笑ってしまったのが、アキラが大学に進学する頃の自宅にセブンスターのゴミ箱があったこと(笑)あれうちの近所でも当時みんな使っていたなぁと。
またアキラが上京する時に照雲が持ってあげていたアディダスのちょっと派手目なボストンバッグも、あの頃あるあるなデザインで、よくこんなもの見つけてきたなぁって感じでした。
時々、現代人が演じるフィクション感を感じる作品もある中、こういった細かい部分にもリアリティがあり、役者さんたちも「昭和の時代の空気」をちゃんとわかって演じているのか、非常にリアリティを感じました。
岡山でロケをされたようですが、いまだに現存する懐かしい街並みや建物も作り物のセットじゃないからこそ、役者さんたちの演技によりリアリティが生まれたのではないかと思わせるほどの風景でした。
またここからは個人的な感想になりますが、細かい境遇や時代は違うものの、父子家庭で育った私にはそれなりにガツンとくる内容でした。子供の頃の描写、反抗期、受験、社会人になってから、節目節目で父のリアクションが安男とそっくりだったんですよね。
だからこそ、アキラの気持ちもすごくわかるし、安男のことは父はあの時、こんな気持ちだったのかと(だったら素直に言ってくれれば・・・)と思うこともしばしば。
なんだか観ていて他人事とは思えない映画でしたが、個人的には安男のように父の周りにああやってフォローしてくれる人がいたりしたら、もう少し親子関係も良かったのかもしれないなぁなんて思ったりしながら観ました。
映画「とんび」はこんな人におすすめ
- 親子関係にモヤモヤしている人
- 昭和の懐かしい雰囲気を楽しみたい人
- 40代、50代の人